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手術室におけるイオン化マグネシウム測定

[抄録]

マグネシウムはヒトの身体にはおよそ24g存在し、様々な細胞機能の基本的役割を担う重要な構成要素の一つである。主として小腸から吸収、腎臓から排泄され、吸収・排泄ともに良好で異常の起こりにくい栄養素と考えられる。99%は細胞内に、1%が細胞外に分布し、血液検査で測定する血漿中のマグネシウムは0.3%の部分にあたる。
そのうち、生理的活性を持つイオン化マグネシウムはさらにその60%で、陰イオンやタンパクとの結合の影響を受けやすい。

重症患者では血漿中の総マグネシウムとイオン化マグネシウムの相関が悪いことが知られており、イオン化マグネシウムの測定が推奨される。マグネシウム濃度の安全域は他のイオンに比して比較的広いとされているが、重症患者のイオン化マグネシウム濃度異常では不整脈や昏睡といった重篤な臨床症状を引き起こすことも報告されている。また麻酔中では、マグネシウムの持つ麻酔の増強作用、具体的にNMDA受容体への拮抗作
用、筋弛緩作用が知られている。

我々が手術室で使用している血液ガス分析装置ではイオン化マグネシウムが測定項目の一つとなっており、日常的に臨床的な観点でイオン化マグネシウムの評価を行うことが可能となっている。実際にはマグネシウム濃度を第一義の目的として血液検査を実施することはほとんどないが、意図せず発見されるイオン化マグネシウム濃度異常が存在することも事実である。このような症例がどの程度、どのような傾向で発見されているか振り返りながら、予後についても文献と対比しつつ、実際の状況としてご紹介する。

座長: 山内 正憲 先生
東北大学大学院医学研究科 外科病態学講座麻酔科学・周術期医学
教授

演者:山田高成 先生
慶應義塾大学医学部麻酔学教室
准教授

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